【学習障害 LD】
知能や感覚、記憶能力などには異常はないのに、
・計算ができても字が読めない
・特定の字だけが理解できない
・ほかは普通なのに体育がダメ
などの知的機能のアンバランスを示すもの。 原因はさまざま。
やる気がない、要領が悪い、などと誤解されて苦労したりします。
ほかの日常生活にはさしつかえはなく、ハリウッドで有名な俳優がLDを持ちながら活躍できていたりすることはよく知られています。
【ディスレクシア(ディスレキシア)Dyslexia 識字障害 読字障害】
書かれた文字を、見る、区別する、読み方を定める、意味を判別する、行を追う、などの複雑な作業の末に、可能になるのが「読む」という行い。これらの一連の作業の中の、どこかに故障があると、ほかの成績は普通のなのに国語だけがダメダメだ、のような状態に陥ってしまいます。
今回、脳スキャン込み漢字圏含めての識字障害(LD、読字障害)の通文化比較(文化によってどう違うかの確認)が行われました。
子供たちのために太りすぎや肥満の定義を必要とする
漢字を使う国のディスレクシア(読字障害)は、欧米のとはようすが違います
脳内の識字処理担当部位は、文化によって異なっている
2004/08 newdyslexics have problems of their own
Brain regions behind reading difficulties differ between cultures.
2004/09 BBC News New theory on cause of dyslexia
2004/09 Forbes.com Culture Plays a Role in Dyslexia
表意文字(漢字)文化圏のディスレクシアと、表音文字(アルファベット)文化圏のディスレクシアとでは、識字障害(読字障害)を引き起こす脳の機能が違っている。
日本は、表音文字と表意文字の両方を用いるというユニークな言語体系を持つ。
英日バイリンガルの子の場合、英語でひどい識字障害(読字障害)を示していても、日本語では全くさしつかえないというケースも存在すると。
... 以下つづき...
自動販売機から学校の肥満
動態視覚情報がうまく処理できないために、文字の並びが把握しづらいという子もいる。
一対一対応ではない音の表記に、簡単に惑わされる子もいる。(coughとboughみたいな)
鏡像図形の弁別(左右反転した図形の見分け)が、うまく行かない子もいる。
歳をとると、記憶のカタログタグが満杯になり、人名候補が多すぎて人の名がわからなくなりがち、それに似ている部分もある。脳の中で、記号情報の連結がおぼつかない状態。
昔、西欧諸国内での比較調査は行われていた。
↓
英語やフランス語より、イタリア語のほうがディスレクシア(読字障害)に優しい
英 仏語はただでさえイレギュラーな発音表記が多すぎるんだよ
識字障害(読字障害)が神経障害である証拠 ~ ウタ・フリスほか
2001/03 EurekAlert Dyslexia study in Science highlights the impact of English, French, and Italian writing systems
生まれた国が、習得すべき言語が、たまたまその子に合っていなかっただけという不運。そういう構図も描ける。
芸術や不安に関する質問
識字(読み)の能力は、生物進化上ではごくごく必要性の低い瑣末(さまつ)なもの。人間、識字をする目的第一で進化をしてきたわけではない。
識字ができなくても、他の能力で十分補える。
識字ができなくても、適切な対応があれば生きていくに十分支障はないはず。
現に支障があるのならば、それは「人間が元来持つ多様性に適さない未成熟な価値観やシステム」のせいだったりするのだろう。
関連記事の追記:中国語をしゃべるのがうまいか下手かも遺伝子しだい
人間はふつうどんな言語でも習得できるものなのだが、音の上下が重要な中国語のような言語は、欧州系の人間にはつらいかもしれない
2007/05 New Scientist Genes may help people learn Chinese
2007/05 National Geographic Genes May Influence Language Learning, Study Suggests
ヒトの遺伝学的バリエーションと言語の間の明白な相互関係を初めて検出
non-tonalな言語が話される地域の人々は、2つの脳発達遺伝子(ASPMとMicrocephalin)の最近進化したバリエーションをお持ちであるぞ中国標準語は脳的にはミュージック
2006/12 EurekAlert Mandarin language is music to the brain
マンダリン言語は、まずトーンを識別する右脳が反応してから左脳の言語野を活性化する
2006/11 EurekAlert New study suggests speakers of different languages perceive rhythm differently
異なる言語の話者は、リズムの知覚が違っている
アメリカ人のと日本の研究者、非言語音をリズムに分類する手段に自国語が影響すると発見
脳が計算に使う部位、文化によって違います 漢字文化圏はビジュアルで
2006/06 New Scientist Mother tongue may determine maths skills
障害のありようは文化しだい
失読症を生じる脳の部位は中国とイギリスとで異なる
2008/04 newdiversity
Chinese and English dyslexias stem from different brain abnormalities.
2008/04 Discovery Dyslexia Differs by Language
失読症は、言語によって違う
2008/04 ABC@オーストラリア Culture shapes dyslexic brains
読書障害(読字障害)の脳をこしらえる文化
【追記】
新しくこんなエントリもできました。ご併読下さい。
2008/08 『ニュータイプの言語障害、失タイプ症登場!神経文字学』
2008年にNHKがスペシャルを組みました。そこではもっぱら「読字障害」という呼称が採られています。
病の起源 第4集 「読字障害:文字が生んだ病」
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