2012年4月30日月曜日

職業適性の考え方|色覚外来|滋賀医科大学 眼科学講座



(1)異常の程度と職業適性

一口に色覚異常といっても、ほとんど正常と変わらないほど軽いものから、赤・緑・黄の区別ができないほど強いものまでいろいろあります。この程度を測定し、 それに応じた職業を選べるようにしたいものです。しかしこの程度を測定することは大変難しく、 現在でもよい方法はありません。また逆に個々の職業や作業にどの程度の弁色力(色を区別する力)が必要なのかについてもほとんどわかっていないというのが現状です。 しかし、種々の色覚検査の成績から大きく3〜4段階に程度分けをする方法が一般的には行なわれており、この程度に応じた職業適性を推定することはできます。

まず、異常の程度が軽くても色覚異常の人には適さないと思われる仕事は次の2種類のものです。

1)色彩感覚を要求される仕事:
画家、染色・塗装・繊維・色材料の仕事、建築家、種々のデザイナーなどは正常色覚の人でも特殊な色彩感覚が必要とされるようです。色彩感覚の基礎である色覚そのものに少しでも異常があれば、一生続けていく仕事としては負担が重すぎるでしょう。ただしこのような仕事には色の判断以外にもいろいろな才能、能力が要求されますので、そういった他の才能、能力に優れ、それを生かそうとしての選択も悪くないかもしれません。実際色覚異常であった著名な画家(クロード・モネ ら)もいるのです。しかしこの場合は自身の色覚についてよく理解し、補う努力が必要になります。やはりずっと続けることを考えるとお勧めできる選択ではありません。


通常の歩行とcaidance

2)交通・運輸関係の仕事:
これは言うまでもなく信号灯を見誤る危険があるからです。面積の大きい、広がりのある色の場合は問題ないのですが、遠くの灯火信号のような点状の色に対しては、その色があざやかな色であっても、 色覚異常の人には判断が非常に難しくなります。ですから、列車の運転、飛行機・船の操縦などは色覚異常の人にまかせるべき仕事ではないといえます。但し道路上の交通機関はその限りではありません。 道路交通では、せいぜい50〜100メートル先の信号が分かれば十分で、この距離での信号灯ははっきりと広がりを持った、しかもあざやかな色ですので、軽度の異常者の場合はこれを誤ることはありません。 また色覚異常の人は色だけでなく信号灯の点灯位置など周囲の状況も参考にして判断するので、強度の人で色が分からなくても,注意(黄),停止(赤)という信号の意味を間違うことはないようです。進行"の緑は青緑を使うように定められていますので色覚異常であってもこれを見間違うことはありません。

異常の程度が軽い場合はよいが、強度の異常の人には不適と思われる職業は、


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3)医療関係の一部:
医師や薬剤師の仕事のうちある種の分野では、色に対する判断の誤りが人命にかかわる場合があります。 たとえば、顔色や皮膚の色を読んで、全身状態の変化に気付かねばならないところを見逃すことがあるかもしれません。 吐物や便、尿に血が混じっているのになかなか気づきません。ですから、人命に直接かかわる仕事に関しては慎重でありたいものです。 できないということではありません。色による判断を間違う可能性があることをよくわきまえて、分野を選ぶ、あるいは日頃から注意をしているということで補える事ではあります。 しかし不利である事には違いありません。
医療ではありませんが生鮮食料品の鮮度の判定も苦手な作業のひとつです。強度の方にはよい選択とはいえません。

4)小学校・幼稚園の先生:
小学校や幼稚園では色彩や色に関連した知識を教えたり、一般の教科でも教材として色で塗り分けたり、表現したりというものを使うことがよくあります。 そういう場に強度の色覚異常の人はやはり不適当と考えるべきでしょう。しかし苦手を補う努力をすれば十分可能な職種ともいえます。 またむしろ色覚異常、ハンデキャップの痛みが分かるという意味では適した職業という考えもできます。


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もっと細かく見て行くこともできますがきりがありません。交通関係の仕事でも、機関士、 通信士といった補助的な内容のものは、強度の異常でなければ問題ないと思われます。また逆に色覚異常があってもさしつかえない職業についても考えてみる必要があります。 要は、その人の能力の全体から職業適性を考えるべきであって、色覚もその一部にすぎないということです。


(2)大学入学時の制限

色覚異常者は学業の履修の上で、あるいは卒後の就職の上で支障があるとして、その入学を制限している学部・学科がいくつかあります。 同じ学部・学科でも制限をしている大学、制限をしていない大学があり、それは個々の大学の教育に対する考え方の違いによるようです。 医学部入学時の制限についてわれわれが行なった調査(1982年)によりますと、半数以上の大学で何らかの制限をしていました。 その後の改定で現在ではこの様な制限をしている大学はなくなりましたが、色覚異常があっても大丈夫という意味ではありません。 色覚異常の本人の責任と判断で、それぞれの特性に応じた専門分野を選べばよい、とする考え方(個人責任)に基づくものであり、入学後の指導が適切になされる必要があります。



(3)国家試験、資格試験では

現在約500種の国家試験による職業資格がありますが、その中には受験資格として、正常色覚あるいは一定水準以上の弁色力を要求しているものがあります。 大部分は警察・消防・防衛庁・自衛隊・航空・船舶に関するものですが、他には毒劇物取扱責任者・ふぐ調理師は色盲を不可とし、オ−トレ−ス選手・審判員は軽度の色覚異常も不可としています。 いずれも色に関する判断の誤りが、人命にかかわる可能性を考慮してのことと思われます。

以上が一般的な考え方です。一人一人の問題として職業選択を考える場合には、色覚以外の多くの要因を考慮する必要があります。 色覚はその要因の一つに過ぎませんが、決して無視してはいけない要因であることも確かです。色覚異常であることを自覚し、よく理解した上でそれなりの覚悟を持って、 総合的な判断からあえて不適切と思われる職業を選択することも悪いことではないかもしれません。ただし努力すれば克服できるという種類のものではないことはわきまえておいてください。 また不得意を補ういろいろな工夫が必要です。要するに職業選択はその人の能力からの総合的な判断であり、色覚だけで決める問題ではないということです。


また職業選択にともなういろいろ制限は時代とともになくなっていく傾向にはあります。一つには理不尽な制限が廃止されてきたということであり、 また眼による判断よりいろいろなセンサーを用いた機械で判断をするものが増えてきたという事もあるかもしれません。しかしコンピュータの普及により、 逆にディスプレイ上の色の判断が重要になってくるという最近の新しい問題も出てきています。職業適性については時代とともに考え方が変わっていくということです。



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